使い方
- 行列AとBの行数と列数をそれぞれ1〜5から選び、各マスに数値を入力します。
- A + B、A − B、A × Bは2つの行列を、kA、Aᵀ、det(A)、A⁻¹、rank(A)、Aⁿは1つの行列を使います。Bにも同じボタンがあり、値を変えると選んだ演算の結果がすぐに再計算されます。
- スカラーkはkA・kBに、整数の指数nはAⁿ・Bⁿに使います。
- 「結果をAに代入」で結果の行列をAに入れて計算を続けられます。「AとBを入れ替え」で2つの行列を交換します。
行列の積と基本の演算
以下の[a b; c d]は、1行目がa, b、2行目がc, dの2×2行列を表します。行列の積は「行 × 列」のルールで計算します。A × Bの(i, j)成分は、Aのi行目とBのj列目の成分を順に掛けて足した値です。
- サイズのルール:m×n行列とn×p行列の積はm×p行列になります。前の行列の列数と後ろの行列の行数が等しくなければなりません。
- 例:[1 2 3; 4 5 6](2×3)× [7 8; 9 10; 11 12](3×2)= [1·7+2·9+3·11 1·8+2·10+3·12; 4·7+5·9+6·11 4·8+5·10+6·12] = [58 64; 139 154](2×2)
- 和と差は同じ位置の成分どうしで計算するので、2つの行列は同じサイズである必要があります。kAはすべての成分をk倍し、転置行列Aᵀは行と列を入れ替えるため、2×3行列は3×2行列になります。
- 積は順序が大切です。A × BとB × Aはふつう異なり、サイズによってはB × Aを計算できないこともあります。
行列式・逆行列・階数とガウスの消去法
2×2行列ではdet [a b; c d] = ad − bcで、ad − bc ≠ 0なら逆行列は[a b; c d]⁻¹ = 1/(ad − bc) × [d −b; −c a]です。
それより大きな行列は、部分ピボット選択付きのガウスの消去法で計算します。列ごとに絶対値が最大の成分をピボットに選び(必要なら行を入れ替え)、その下の行からピボット行の定数倍を引いて0にします。行列式はピボットをすべて掛けた値で、行を1回入れ替えるごとに符号が変わります。
例:[2 1 1; 4 3 3; 8 7 9]を行の入れ替えなしで手計算すると、R2 − 2R1 = [0 1 1]、R3 − 4R1 = [0 3 5]、R3 − 3R2 = [0 0 2]となり、det = 2 × 1 × 2 = 4です。計算機は8を最初のピボットにするため行を入れ替えますが、行列式は同じです。
逆行列は[A | I]に同じ消去を行い、左側が単位行列Iになったときの右側をA⁻¹とする方法(ガウス・ジョルダンの消去法)で求めます。階数(ランク)は消去後に残ったピボットの数、つまり一次独立な行の数です。行列の成分の最大絶対値の10⁻¹²倍より小さいピボットは0とみなします。
計算例(ステップごと)
ページを開いたときに入っているA = [4 7; 2 6]、B = [1 2; 3 4]で計算してみます。
- A × B = [4·1+7·3 4·2+7·4; 2·1+6·3 2·2+6·4] = [25 36; 20 28]
- det(A) = 4 × 6 − 7 × 2 = 24 − 14 = 10
- 公式による逆行列:A⁻¹ = 1/10 × [6 −7; −2 4] = [0.6 −0.7; −0.2 0.4]
- 消去法で確認:[4 7 | 1 0; 2 6 | 0 1]からR2 − 0.5R1 → [0 2.5 | −0.5 1]、R2 ÷ 2.5 → [0 1 | −0.2 0.4]、R1 − 7R2 → [4 0 | 2.4 −2.8]、R1 ÷ 4 → [1 0 | 0.6 −0.7]
- 検算:A × A⁻¹ = [1 0; 0 1]です。累乗はA² = A × A = [30 70; 20 50]、A⁰ = I、A⁻² = (A⁻¹)² = [0.5 −0.7; −0.2 0.3]です。
知っておきたいポイント
- 行列式・逆行列・累乗は、行数と列数が等しい正方行列でしか計算できません。転置・スカラー倍・階数はどのサイズでも計算できます。
- 行列式が0の正則でない行列(特異行列)には逆行列がなく、A⁻¹やA⁻²のような負の累乗も計算できません。例:[1 2; 2 4]はdet = 1 × 4 − 2 × 2 = 0で、階数は1です。
- 空欄は0として計算し、そのときは結果の下に注意書きが出ます。入力漏れは結果を変えるので確認してください。
- 結果は有効数字12桁まで表示し、丸めで生じたごく小さな値は0にそろえます。そのためA × A⁻¹はきっちり単位行列として表示されます。
よくある質問
2×2行列の逆行列はどう求めますか?
対角線上の2つの成分を入れ替え、残り2つの符号を変えてから行列式で割ります。つまり[a b; c d]⁻¹ = 1/(ad − bc) × [d −b; −c a]で、[4 7; 2 6]なら行列式が10なので逆行列は[0.6 −0.7; −0.2 0.4]です。
逆行列がない行列もありますか?
はい、正方行列でない行列や行列式が0の行列(特異行列)には逆行列がありません。たとえば[1 2; 2 4]は1 × 4 − 2 × 2 = 0なので逆行列がなく、計算機は特異行列であることを知らせます。
A × BとB × Aは同じですか?
ほとんどの場合異なります。上の例ではA × B = [25 36; 20 28]ですが、B × A = [8 19; 20 45]なので、行列の積は順序を守る必要があります。
どんなサイズの行列どうしを掛けられますか?
前の行列の列数と後ろの行列の行数が等しい場合です。2×3行列と3×4行列は掛けられ、結果は2×4行列になります。サイズが合わないときは必要なサイズを表示します。
行列の階数(ランク)とは何で、どう求めますか?
一次独立な行(または列)の最大数で、この計算機ではガウスの消去法の後に残ったピボットの数として求めます。たとえば[1 2 3; 4 5 6; 7 8 9]は3行目が2 × 2行目 − 1行目なので階数は2で、行列式は0です。
分数は入力できますか?
いいえ、各マスには−0.25のような数値を1つだけ入力できます。1/2は0.5、1/3は0.333333333333のように小数にして入力してください。
何行何列まで計算できますか?
最大5×5までです。AとBの行数・列数をそれぞれ1〜5から別々に選べるので、2×3や3×1のような長方形の行列も計算できます。