使い方
- Z₁ と Z₂ に 3+4i、−2.5i、5、3−4j のように a+bi の形で入力します。虚数単位は i と j のどちらも使え、大文字・小文字は区別しません。
- 極形式は 5∠53.13 のように r∠θ で入力します。角度は選んだ角度の単位で読み取り、角度の後ろに ° や rad を付けるとその単位で読み取ります(例:2∠30°、2∠0.5rad)。
- 計算の種類を選びます。Z₂ の欄は四則演算のときだけ、指数 n の欄は累乗のときだけ表示されます。共役複素数、平方根、逆数、e^Z₁、ln Z₁ などの関数は Z₁ だけを使います。
- 入力するとすぐに結果が変わります。直交形式 a+bi に加えて、極形式 r∠θ、指数形式 r·e^(iθ)、絶対値、偏角を有効数字12桁まで表示します。
- 角度の単位(初期値は度、またはラジアン)は、偏角、極形式・指数形式の表示、入力した角度のすべてに適用されます。
計算式:直交形式・極形式・ド・モアブルの定理
- 足し算・引き算は実部どうし、虚部どうしで計算します:(a + bi) ± (c + di) = (a ± c) + (b ± d)i
- 掛け算は展開して i² = −1 を使います:(a + bi)(c + di) = (ac − bd) + (ad + bc)i
- 割り算は分母の共役複素数 c − di を分子と分母に掛けます:(a + bi) ÷ (c + di) = [(ac + bd) + (bc − ad)i] ÷ (c² + d²)
- 絶対値 |z| = r = √(a² + b²)、偏角 θ = atan2(b, a)。偏角は −180° < θ ≤ 180° の範囲で表します。
- 極形式と指数形式(オイラーの公式):z = r(cos θ + i sin θ) = r·e^(iθ)
- ド・モアブルの定理 zⁿ = rⁿ(cos nθ + i sin nθ)。ほかに ln z = ln|z| + i·arg z、e^(a + bi) = e^a(cos b + i sin b) です。
計算例 1:複素数の掛け算と割り算を順を追って
最初の画面に入っている Z₁ = 3 + 4i、Z₂ = 1 − 2i で、掛け算と割り算を手順どおりに確かめます。
- 掛け算を展開します:(3 + 4i)(1 − 2i) = 3 − 6i + 4i − 8i²
- i² = −1 を代入すると 3 − 2i + 8 = 11 − 2i です。極形式では √125∠−10.3048464688° ≈ 11.1803398875∠−10.30° になります。
- 割り算は、分母の共役複素数 1 + 2i を分子と分母に掛けます。分子は (3 + 4i)(1 + 2i) = 3 + 6i + 4i + 8i² = −5 + 10i、分母は (1 − 2i)(1 + 2i) = 1 + 4 = 5 です。
- したがって (3 + 4i) ÷ (1 − 2i) = (−5 + 10i) ÷ 5 = −1 + 2i です。
- 足し算と引き算はもっと簡単です:(3 + 4i) + (1 − 2i) = 4 + 2i、(3 + 4i) − (1 − 2i) = 2 + 6i
計算例 2:極形式への変換とド・モアブルの定理
- 3 + 4i の絶対値:r = √(3² + 4²) = √25 = 5
- 偏角:θ = atan2(4, 3) ≈ 53.1301023542°(0.927295218002 rad)なので、3 + 4i = 5∠53.13° = 5·e^(i·53.13°) です。
- 逆に極形式を直交形式に直すと、2∠30° = 2(cos 30° + i sin 30°) = √3 + i ≈ 1.73205080757 + i です。
- ド・モアブルの定理:1 + i = √2∠45° なので、(1 + i)⁸ = (√2)⁸∠(8 × 45°) = 16∠360° = 16 です。
- 同じように (2∠30°)³ = 2³∠90° = 8i、平方根は √(3 + 4i) = 2 + i、√(−4) = 2i です。
よくある間違いと知っておきたいこと
- 角度の単位を確認しましょう。ラジアンを選んでいると 2∠30 は 30° ではなく 30 ラジアンです。迷ったら 2∠30° のように単位を付けて入力します。
- 偏角は単純な arctan(b/a) ではありません。−3 − 4i は arctan(4/3) = 53.13° ではなく、第3象限の角 atan2(−4, −3) ≈ −126.869897646° です。
- 四捨五入した角度で入力すると結果も近似値になります。5∠53.13 はちょうど 3 + 4i ではなく 3.00000714566 + 3.99999464074i です。90° の倍数は正確に変換します(2∠90 = 2i)。
- 実部と虚部はそれぞれ1回だけ書きます。3+4i、4i+3、3+j4、2*i は使えますが、3+4i+2 は読み取れません。
- π や分数は入力できないので、3.14159265359 や 0.5 のように小数で入れます。ごく小さな計算誤差は 0 に整理するため、e^(3.14159265359i) は −1 と表示されます。
- 整数の指数(絶対値 1024 以下)は掛け算を繰り返して正確に計算します。例:(3 + 4i)² = −7 + 24i
よくある質問
複素数を極形式に変換するには?
Z₁ に複素数を入力して「Z₁ の形式変換」を選ぶと、r∠θ、指数形式、絶対値、偏角が表示されます。例えば 3 + 4i は r = √(3² + 4²) = 5、θ ≈ 53.13° なので 5∠53.13° です。
極形式を a+bi の直交形式に変換するには?
Z₁ に 2∠30 のように r∠θ で入力し「Z₁ の形式変換」を選ぶと、結果が a+bi で表示されます。a = r cos θ、b = r sin θ なので、2∠30° = √3 + i ≈ 1.73205080757 + i です。
複素数の累乗はどう計算しますか?(ド・モアブルの定理)
計算で「Z₁ⁿ(累乗)」を選び、指数 n を入力します。ド・モアブルの定理 zⁿ = rⁿ(cos nθ + i sin nθ) より (1 + i)⁸ = (√2)⁸∠360° = 16 で、整数の指数は正確に、0.5 のような整数でない指数は主値で計算します。
i の代わりに j を使えますか?
はい、3−4j と 3−4i は同じ数として計算します。電気工学では電流の記号 i と区別するため、虚数単位を j と書くことが多いです。
−3 − 4i の偏角が 53.13° ではなく −126.87° になるのはなぜですか?
偏角を、象限まで考慮する atan2(b, a) で求めるためです。−3 − 4i は第3象限にあるので偏角は約 −126.869897646° で、この計算機は偏角を常に −180° より大きく 180° 以下の範囲で表示します。
平方根や対数はどの値を表示しますか?
偏角が −180° より大きく 180° 以下の範囲にある主値を表示します。例えば √(−4) = 2i(もう一つの平方根は −2i)、ln(−1) = πi ≈ 3.14159265359i です。
0 で割ったり ln 0 を計算したりするとエラーになるのはなぜですか?
0 + 0i で割ることも 0 の対数も、数学的に定義されていないからです。e を何乗しても 0 にはならないので ln 0 は存在せず、0 には向きがないので偏角も定義されません。